 |
人類が最初に造った建築は住居でした。道具を使うことを学び、火を利用することを発見した人類が、ほかの動物との違いを決定的にしたのは自然物そのままではない住居を造ったことだと考えられます。その住居の中では家族としての序列が生まれ、優先順位に見合った空間の使用が決定されていきました。古代から永々と住居の中で繰り返しその空間利用を進化させてきました。
この原初的な住居の空間に対するイメージは、現代人の私たちの体内に残っていると思われます。現代の住居を考えるに、私たちはそのことをもう一度意識しなければならないと思います。易しく言えば、住居は単なる食べる、寝る空間ではなく、それは社会生活を行なう上での、人としての基本的な人格を創る“場”であるということです。
子供時代の原体験としての住宅は、その子供の将来を決定づけるとさえいわれているのも、このことを示していると思います。人間は子供の頃に身につけたものを基本として、無意識に社会を計る物指しとしています。親から受けた影響も大きいのですが、住居内での生活を通じての部分の方がもっと体内にしみついた感覚として影響を受けています。西洋では、子供才能を伸ばしたければ、天井を高くせよ、と言うそうです。
現代は技術の進歩により、住宅に望むものはほとんど満たされています。その技術を背景に住宅は規格品化され、さらに商品にまでされてしまっています。その中でも、集合住宅の分譲はその典型的なものといって良いでしょう。車を買うように、家も買う時代になってしまいました。これが、先に述べた人間の根源的な部分に影響を与える住居として、満足できるものになっているでしょうか。メーカーの論理に自分の人生を合わせていないでしょうか。もう一度、住宅とは何かを考えることが大切な時期にきていると思います。
来月からは、住宅についての色々な方向から考えて頂くための『建築豆知識』連載を開始しますので、どうぞ楽しみにして下さい。また、ご意見がありましたらメールにてお寄せください。
|