バリアフリー住宅を考える前に・・・
(1)キーワードは、「安全」・「長持ち」
住宅のバリアフリー化にあたってまず考えなければならないことは、現在の住宅の状態についてです。それは、身体状況に関することのみではなく、将来の家族構成や、住宅の老朽度等についても考える必要があります。せっかくバリアフリー化を図っても、地震や台風で、すぐにつぶれてしまうような住宅では、リフォームをする意味がありません。「安全」で「長持ち」な住宅にしてはじめて、バリアフリーの効果が生きるのです。
住宅のバリアフリー化の方法は、いくつかありますが、
1 新築(改築)
身体状況に合わせて新しく建てる。一番理想的な環境が得られるが、費用も一番かかる。
2 増築
現在の住まいはそのままに、高齢者、障害者等が生活する部分を新たに建てる。家族とのつながりに支障の無いよう計画する必要がある。
3 改造(リフォーム)
現在の住宅の中で、生活に支障がある部分について使えるように改造する。身体状況、経済状況に合わせて工事を行える。
等があり、2や3を組み合わせて行うこともあります。また、その場合はバリアフリー化とあわせて、耐震補強や断熱化の工事を行うと、さらに快適な住宅になるので、建築士に相談しましょう。
ただし、高齢者の場合、突然生活環境が変わると、体調を崩したり、痴呆症になる場合があるので、新築の場合はできる限り従前の住宅で使っていた家具や道具を利用するようにして下さい。
(2)その人にあったバリアフリー化を!
高齢者や障害のある方の身体機能を理解することが、良いリフォームをする重要なポイントです。これは現在の身体機能だけでなく将来のことも考慮してバリアフリー化をすすめることが大切です。
また、残存能力を活かすことは、身体機能の低下を防ぐだけでなく、自立しようという意欲を高め精神的に良い状態になります。ここに高齢者や障害のある方などの身体機能の一部を紹介しますが、人によってそれぞれ違いますので、医療・保健・福祉の関係者、建築関係者の意見を参考にその人にあったバリアフリー住宅リフォームをすすめましょう。
さまざまな身体状況に合わせた設計ポイント
加齢による障害
状 態
身体機能の
低下
・骨がもろくなり、骨折しやすい。
・動作の反応時間が長くなり、敏捷性が低下する。
・脚力等の低下により歩幅が狭くなり、すり足歩行になる。
感覚的機能
の低下
・平衡感覚が低下し、転倒しやすい。
・五感(視覚、聴覚、臭覚、触覚、味覚)の低下
・温冷感知能力が鈍る。
生理的機能
の低下
・睡眠時間が短く、目を覚ましやすい。
・腎機能低下による排尿困難、失禁、頻尿
心理的、
精神的機能
の低下
・物忘れが多い。
・リタイア、配偶者との死別等で孤独感が強い。
・過去への愛着が強く、新しいものへの適応に時間がかかる。
日常生活の
構造の変化
・余暇時間がある。
・住居内滞在時間が長い。
・社会的行動範囲が縮小する。
●加齢とともに身体機能が低下するので、段差をつくらないようにし必要箇所に手すりを取り付けましょう。
●五感が低下するので、聴覚障害、視覚障害にも配慮しましょう。
●急激な温度変化に対応できないので、住宅内の温度が一定になるよう考えましょう。
●新しいものへの適応に時間がかかるので、慣れ親しんだ家具等を建築に生かすように工夫しましょう。
車いすを使用
状 態
自力で
車いす使用
・両下肢マヒ又は片マヒ等で自分で車いすを操作し使用可能であるが、
高いものが見えにくく、届かない。
介助により
車いす使用
・運動マヒの程度や感覚障害などで車いすを操作できない。
重度の介助
が必要
・身体障害のため寝たきり状態、重度の介助が必要。
●段差や階段は乗り越えられないので、スロープ、段差解消リフト、またはエレベーターを設置しましょう。
●車いすのスペースが必要となるので、廊下や出入口を広めにしましょう。
耳が不自由
状 態
音が聞こえ
にくい
(聞こえない)
・危険がわかりにくい。
・音声言語による会話が難しい。
・大きな音をたてても気付きにくい。
・音が聞こえにくいため視覚による情報を求め、目が疲れやすい。
●音が聞こえにくいので、光や振動で危険を知らせる工夫が必要です。
●目をよく使うので、壁の色は目の疲れにくいもの、照明は明るくてやさしいものにしましょう。
目が不自由
状 態
目が見えに
くい
(見えない)
・危険がわかりにくい。
・外出すると自宅の位置がわかりにくい。
・同一素材の場合、床の境界等がわかりにくい。
・杖で危険を察知し歩行する。
・盲導犬と共に歩く。
●目が見えにくいので、音や振動で危険を知らせる工夫が必要です。
●弱視の人は暗くなると急に見えなくなることがあるので、照明を明るくするよう配慮しましょう。
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